「台湾」名義ではWHOに加盟できない


[前中興大學副教授 沈建徳]
陳水扁は「台湾」名義でWHOの加盟を申請し拒否された。多くの人がこれに肩を落としたが、今回は「中華民国総統府」の公式書簡としてWHO宛に送付したもので、Taiwan=Republic Of China としてしまったのは失敗である。
今回の拒否の理由は、1971年10月25日の国連(聯合國)決議2758号で、「中華民国」の代表権は北京政府に継承されたためである。ただし「中華民国」が国連から除名されたわけではない。
当時の国連事務総長ワルトハイムは、WHOを含む国連各機構の(台湾の)席次を北京政府が接収することを通達した。WHOで1972年5月10日に通過した決議は、決議2758号とほぼ同じで「中華人民共和国のすべての権利を回復すること」、「蒋介石を代表から除名すること」などである。言い換えれば、「中華民国」の国号は、今でも北京政府が使用していると言えるだろう。
だから、WHOひいては国連は「ひとつの中国」政策をとっているわけで、加盟申請に「中華民国」の名称さえ用いなければ、国連側も拒否する根拠はないことになる。たとえば、2000年8月28日、「台灣國臨時政府」の名義でなされた加盟申請については、国連側に受理されている。ただし申請には、他の加盟国少なくとも一国が介添えになることと言う条件付きだが、加盟拒否はされなかったのだ。もっとも「臨時政府」には同盟国がなかったので、この案は棚上げとなってしまった。

陳水扁が申請書の名義を換えさえすれば、最初の関門は通過することができるだろう。主権論はその後だ。中国はひとつなのか、台湾は中国の一部なのか、台湾については国際問題なのか中国の内政問題なのか。
WHOをただ批判しているよりも、まずは試しに名義を換えて申請してみればいい。
(07.5.3 自由時報